このファンタジーがすごい!文庫

翻訳されてほしいファンタジーを紹介していきます。

The Aeronaut's Windlass

ドレスデン・ファイルやCodex Aleraで人気の作家、Jim Butcherが新シリーズを立ち上げた模様。

 

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【あらすじ】

霧が立ち込める中に巨大尖塔が建ち並び、地表にはモンスターが蔓延る世界。通商はもっぱら不思議な力を宿すクリスタルを動力に持つ飛行船で行われているが、アルビオン尖塔とオーロラ尖塔との間に戦争が起きようとしていた。

主アディソンの命を受け、アルビオン尖塔内に暗躍するオーロラ尖塔のスパイを探るためチームが組まれる:エーテル使いのフィーラスとその弟子フォリー、近衛兵で肉屋の娘ブリジット、その同僚の貴族ランカスター家のグウェンドリン、その従兄弟ベネディクト、私掠船プレデター号のグリム船長、猫のラウル。地表階を探ると、さらに背後に敵がいることが次第に判明していく。

 

【感想】

・キャラ立てるの相変わらず上手い。猫が飼い主のために一肌脱ぐシーンはお気に入り。高慢だけど可愛い猫の魅力がたっぷり。

・展開ノロいとは思う。ボスが声だけ出てきたのと、本を手にいれたのとくらい。

Shadows of Self

ミストボーン続編シリーズ第二作ではラスボスの存在が仄めかされてきました!

 

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【あらすじ】

首都エレンデルには暗雲が立ち込めている;知事の兄弟が犯罪者たちとのパーティで殺され、市民は知事の汚職に対する怒りに燃えていた。さらに、生き残り教会の聖職者が殺されることにもなる。犯人の動機とは何か、犯人は何者かを探ることにしたワックス。相棒のウェインや新たに保安官となったマラシと組み、調査を進めていくことになる。どうやら駿足の能力を持つ伝金術師が関わっているとわかり、出自でもあるテリス族の村に訪ねて行くことにするが…。

 

【感想】

・主人公が保安官だからか、前作も今作もミステリとかサスペンスを読んでいるような感覚だった。

・ウェインとマラシの掛け合い好きです。和む。

・前シリーズとは300年の隔たりがあるけど、正直それくらいだと神話的存在とは思えない…東照大権現さんとかいるけどwここがあの伝説のクレディク・ショーだったか!と驚くには1000年はほしい。

・次作で黒幕と対決、次々作で大ボスと対決して締めかな?

The Magicians

現代が舞台のファンタジーで魅力的な作品に仕上げるならやっぱり大学の描写は欠かせないなと思う。Lev GrossmanのThe Magicians三部作はよくできてる。

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【あらすじ】
クエンティン・コールドウォーターはブルックリンの英才児。高校を卒業し有名大学に進学するところが、奇妙な人物に出会い魔法使いのための大学ブレイクビルズ・アカデミーに入学することになる。子どもの頃からファンタジーの世界は彼の憧れであったが、そこでもやはり絶え間ない競争に晒されることとなる。
飛び級仲間の秀才アリスと次第に仲を深めるが、彼女には秘密があった:実は一歳年上だというのだ。大学の講義では不気味な怪物が召喚され、学生が犠牲になってしまった。ファンタジーは決してプラスの側面だけ持っているわけではないと気づいていく。

異世界フィロリーとは何なのか、そこを旅したチャットウィン家とは何者か、そもそも魔法とどう向き合っていくべきかーー大学卒業後もクエンティンの探求は終わらない。

【感想】
・ドラマ化が決定されている。人気出たら早川あたりが邦訳してくれたりして。

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・地の文で嘘を吐かれて何度か驚かされた。
・独り合点する感じとかどこにも居場所がないなとか思ったりするところとか、まさに大学生。
・米国の大学にはフラタニティがあって羨ましいな〜。スノッブな集まりがグータラするような空間を持ってる日本の大学ってあるんだろうか。
ナルニア以外のファンタジー作品は名指しで言及されている。怖い場所という描写がされてるから名指しは避けたのかしらん。中つ国やらディスクワールドにもどうやら繋がってるらしい。

ナルニアファンの自分としてはこの一部が一番好き。アスランが死んでたりスーザン(ピーター)が怪物化したりルーシーが白い魔女になってたりという後味の悪くなるヒネりにはほんとゾクゾクきました。

Blade Itself

氷と炎の歌が好きなら絶対気にいると思うのがジョー・アバークロンビーのFirst Law三部作。一作目のThe Blade Itselfは著者の処女作なのにローカスの21世紀のファンタジー長編で上位にランクインされている。

http://www.locusmag.com/2012/AllCenturyPollsResults.html

 

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【あらすじ】
統合王国(The Union)は北方人とガークル帝国と、二つの危機に瀕していた。

視点人物その1:北方人のローゲン・ナインフィンガー(The North出身)
シャンカ族に追われ、南に逃げていた。そして魔術師バヤズの弟子と出会うことになる。北方の新王、
視点人物その2:不具の審問官サンド・ダン・グロークタ(The Union出身)
統合帝国における政治的陰謀の存在を突き止めた。伝説的存在の魔術師バヤズも眉唾ものの詐欺師ではないかと疑っている。ガークル帝国の拷問を2年間受けたため体も性格もねじ曲がってしまった。
視点人物その3:貴族のジェーザル・ダン・ルーサー大尉(The Union出身)
フェンシングの大会で身を立てようと奮闘している。上司で友人のウェスト大佐の妹との恋の行方が見どころの一つ。

政争や滅んだ神の遺物も絡んできて…

【感想】
・1冊目は割と設定説明多いので結構辛いかも。シリアスなストーリーだけどキャラが立ってて会話文が楽しい。
・クライマックスでのローゲンの覚醒シーン格好良すぎ。やっぱりファンタジーは盛り上げるところで魔法やら超能力やらの設定が利いてくるとググっときます。
グラフィックノベル版あるけど日本の漫画みたいな動きのある絵の方が向いてる作風だと思うな〜。何方かやってくれないものか。
・この巻ではただの気難し屋でいまいちだけどグロークタの見せ場は他にあります。お楽しみに。

The Alloy of Law

ミストボーン三部作の続編もオススメ。サンダースンの雪崩はもちろん健在で、当作品でも終盤にかけて畳み掛けるように事実が明かされていく。

 

https://www.goodreads.com/book/show/10803121-the-alloy-of-law


【あらすじ】
ワグジリアム・ラドリアンは荒野の保安官。合金術(コイン撃ち)と伝金術(鉄)を駆使して市民を守っていたが、ミスから最愛の人を失ってしまう。悲劇から数ヶ月が経ち、伯父の事故死によって爵位を受けついだワックスは首都エレンデルで無為な生活を過ごしていた。土地や名誉こそあれど、伯父の放蕩により失われた資産を取り戻すため、裕福なハームズ卿の娘との縁談を進めることにしたワックス。婚約を社交界に知らせるためにパーティに向かうが、最近流行りの列車強盗団の諍いに巻き込まれて、否、飛び込んでいきーー。

【感想】

・小気味いい会話のやりとりや迫力あるバトルシーンは、相変わらず日本のラノベ並みに読みやすくて面白いです。
・前シリーズへの言及があるたびにワクワクする。主人公の名前からして子孫だし…
・タイトルは直訳すると法の合金だけど、合金術の使える元保安官すなわちワックスのことを指すのか、それともワックスともう一人の保安官の正義が交錯することを指して「合」金なのか、うーんどっちでしょう。
・合金術と伝金術とどっちも使えるのはTwinborn(双金の申し子とでも訳されるかな?)と呼ばれ、同一の金属を貯めたり燃やしたりできる場合はcompound(混合?)で能力が飛躍的に伸びるとか。こういう能力の合成とか考えるの楽しいでしょうね。
・最後10ページで驚愕の展開が待ち受けます。あの人が出てきたり、黒幕が明らかになったり、三角関係になっていったり、次巻を読みたくなること請け合い。
・「人の世から悪がなくならない、神は何をやってるんだ」こんな憤りに対する答えを探すキャラ、サンダースンの作品には多く出てくる気がする。宣教師としての経験からだろうか。Harmony(調和)ことセイズド無責任すぎる気もするけど、果たして真意やいかに。

Legend

ヒーローとは何か、戦いとは何か、そんな燃える作品を書き続けたのがDavid Gemmell。その一番有名な作品がLegendだ。

 

https://www.goodreads.com/book/show/618177.Legend

 

【あらすじ】

蛮族のナディール人は、ウルリックのもと初の統一をみた。ドレナイ帝国に向けて50万人の兵が迫るも、マグナス将軍の兵は救援に間に合いそうもない。帝国の興廃は国境ドロス・デルノッチ要塞を守れるかにかかっていた。

狂戦士レグナックは戦いに疲れて引退生活を送っていた;ひょんなことからデルノッチ公爵の娘と恋に落ち、国を守る戦いに身を投じることになる。

一方、<<伝説の男>>ドラスは60代となってもまだ兵士たることに誇りを持っていた。彼もまたドレナイ人を鼓舞するために立ち上がり、決戦の地の要塞へ向かう。

陰謀や予言、戦いの行方は如何に?

 

【感想】

・シンプルな設定で読みやすい。エンディングがちょっとハッピーエンドすぎる気もするけど。

・伝説の男ドラスはこの大河ファンタジーの幾つかに出てくる。毎度格好いいです。

・彼を記念する賞があり、受賞作品はどれも面白いのでオススメ。

http://www.gemmellawards.com/

Wise Man's Fear

GoodreadsやらAmazonやらでハイファンタジーを検索すると、必ず上位に来るキングキラークロニクル。二巻もとても劇的で面白いです。

 

https://www.goodreads.com/book/show/1215032.The_Wise_Man_s_Fear

 

【あらすじ】※ネタバレ含みます

相変わらず赤貧生活を送るクォート。デビに借金をしたり、エロディンの命名の講義を受けたり、悪意の魔法を受けたことに対して復讐を企んだり、なかなか刺激的なキャンパスライフとなっています。

1巻で風の名前を呼んでアンブローズを攻撃したことで、訴えられてしまいます。あまりに学費が急騰したため休学することにし、男爵の推薦を受けてアルベロン公にパトロンになってもらうよう彼の領地のセベレンに向かいます。

アルベロン公は旧家のメルアン・ラックレスと結婚したいと思っており、クォートは音楽家としてその段取りを組むことになります。密かに領地内で進む陰謀を解決し、今度は税金強盗を捕まえるよう頼まれることに。

途中で妖精に誘惑されたりしながらも、旅は順調に進みます。警備団の中に傭兵として広く知られるアデム族がおり、クォートは次第に仲良くなります。レザニ信仰とケタンを教わるのですが、門外不出のものであるためアデム族の村に連行されてしまいます。そしてしっかり師匠について学ぶことに。

パトロンに虐待されているのに頑なに彼を擁護するデナ。彼女との仲は次第に険悪になっていきます。現在の宿の周りも次第に危険度を増しており、続刊が本当に待ち遠しいです。

 

【感想】

・アデム族は中国を連想しました。声の上げ下げで意味が変わる単語、自民族中心主義な態度、「型」のある格闘技…もちろんフリーセックスじゃないですけど。異民族の描写はファンタジーの魅力の一つですね。

・修行の成果を師匠に示すシーンが痺れるくらい格好良いです。無血のクォートが流血を厭わず手を剣樹に突っ込むとか、ついつい真似したくなりました。

・エロディン先生大好き!半分狂気に浸ってる描写が実に大学の教員らしい。正気の部分が刊行論文だけって人、たまにいますよね。

・回収されてない伏線多いけど最終巻はどうなるんでしょう。2017年と予定されてますが終わらないのでは。

・1巻でクォートの母親のことを歌っている詩が、結婚前のフルネームの韻を踏んでいたことに気づいたときは驚かされました。粋な作りになっていますね。